特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
酵素および関連物質
ADH(アルコール脱水素酵素)
山内 眞義
1
1やまうち内科クリニック
pp.205-206
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104743
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ADH(alcohol dehydrogenase;アルコール脱水素酵素)は20種類以上のアイソザイムがあり,α,β,γサブユニット蛋白の任意の組み合わせによる二量体,およびπ,χ,μ,δサブユニット蛋白それぞれの二量体の形で構成されている.エタノールを基質としてその活性を測定した場合,本酵素の生体内分布は95%が肝で,他臓器では胃粘膜,腎,睾丸,脳,網膜などでわずかに活性を認めるのみであり,肝細胞内では細胞質に局在する.したがって,ALTやLDHなどと同様に肝の逸脱酵素としての性格を有することから,本酵素の血清中の活性を測定することは,肝細胞障害の程度を把握するのに有用な検査である.組織所見のなかで,肝細胞壊死の程度と血清ADH活性とが相関することが明らかにされている.ADH活性は4℃保存で24時間後には20%失活するため,採血後は速やかに測定するか,-80℃で保存し,2カ月以内に測定することが望ましい.
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