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もともと痩せ,自主退院後,またセンターに救急車で戻ってくるまでの1カ月の間,ガリガリにも磨きがかかったF夫くん.
この1カ月に何があったのか.
顔も真っ黒になり,なんだか,お風呂にも入って,いなさそう.
(ただ,両手にピンク,黄色,白など,明るい色のペンキ? 不思議……)
それに……,この1週間,何も口にしていない,トホホ.
搬送されてきたF夫くんを見た後期研修医で,この日,ER担当の高橋君.
高「飢餓と脱水……,意識障害……?」
その横で,かわいそうに,と小さくつぶやく声の主は……,あきちゃん登場.
高橋君が,あきちゃんに,ことの成り行き,事情を話すと,すかさずあきちゃん.
あ「糖尿病,チェックですね! 糖尿病で内服薬,SGLT2i(SGLT2阻害薬)飲んでるか?」
高(たしかに……)
この素早いあきちゃんの反応,前々回の連載*1を読んでた?
前回の入院の際,F野F夫くん,50%に及ぶ大熱傷の治療中,受傷直後から10日間に及ぶ窒素出納の連続モニタリングの結果,“窒素出納の軌道”分類でクラス21),*2.
すなわちICU入室後「3日目または4日目にプラスに転換」で,熱傷治療の神様,上田先生のアドバイスを得て,無事救命に成功!
ただし,F夫くんの体の異化は避けるべくもなく,入院時あった68 kg(ちなみに身長は192 cm,BMIは?)は,1カ月の間に60 kgにまで減った.つまり受傷後1カ月の間になんと12%の体重減少.
“熱傷栄養”の管理こそうまくいったものの,体重減少は激しかった.
だから,これから失った分を取り戻そうとした上田・あきちゃん熱傷特別チームが張り切りはじめた矢先,自主的にお勝手退院のF夫くん.
体重減少の本態の詳細,体組成測定では,骨格筋減少.
だから,自主退院して病院から姿を消した後も,フラフラだったに違いない.
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