増刊号 尿検査法
II.各論
2.尿糖
(1)グルコース(ブドウ糖)
佐々木 禎一
1
1札幌医科大学附属病院検査部
pp.68-69
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901068
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古くから尿糖といわれてきたのは,多くは尿中主成分であるグルコース(Glc)のことを指している.日常臨床的には,健康人の尿中グルコースは陰性と表現することが多いが,血糖に由来した微量(0.001%,<30mg/24時間尿)が排泄されている.
尿中グルコースは後述の多くの病態で増量し,糖尿(glycosuria)を呈する.血液中のグルコースは腎糸球体で濾過され,尿細管で再吸収されるが,閾値(160〜180mg/dl)を超えた高血糖となると腎で再吸収されず,糖尿病で代表されるようにグルコースの尿中排泄量が異常高値となる.血糖値が正常範囲内にあっても,腎機能が低下して閾値が下がり,その結果やはり糖尿となることがある(腎性糖尿病).
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