増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
酵素および関連物質
膵関連
リパーゼ
妹尾 敏伸
1
,
越智 浩二
1
,
原田 英雄
1
1岡山大学医学部臨床検査医学
pp.112-113
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909772
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検査の目的・意義
血中リパーゼの測定は膵疾患の検出を目的に行う.異常値は膵疾患の存在を示唆する.正常値は必ずしも膵疾患の存在を否定できない.
現在の測定法で検出される血中リパーゼはほぼ障由来と考えてよい.尿中には検出されない.膵盲の狭窄・閉塞による膵液のうっ滞または膵の組織破壊が存在すれば,血中へのリパーゼの逸脱が曽加する.膵液が後腹膜腔や腹腔内に漏れた場合には該当部位から血中に吸収される.血中リパーゼの一部は尿中に排泄され,尿細管上皮で不活性化されるが,大部分は網内系で代謝されると考えられている.血中に逸脱する量が生体の処理能を越えると血中高値を認める.急性期の血中値とその推移は必ずしも重症度を反映せず,高度の膵組織破壊が急速に起こると(劇症膵炎)正常値,時には低値を認めることさえある.回復期における正常化は臨床症状・所見を参考にして経過のモニターに使用できる.
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