特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
酵素および関連物質
アシドホスファターゼ(ACP)
平岡 毅郎
1
,
椎名 浩昭
1
,
井川 幹夫
1
1島根大学医学部泌尿器科
pp.202-204
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104742
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
リン酸モノエステルを加水分解する酵素で,至適pHが4.5~6.0の範囲である酵素群はアシドホスファターゼ(acid phosphatase:ACP)と称され,非特異性ホスホモノエステラーゼに属する.
前立腺組織では他臓器と比較して1,000倍以上のACP〔前立腺アシドホスファターゼ(prostatic acid phosphatase:PAP)〕が産生されるため,ACPの酵素活性は特に前立腺組織で高い.それゆえ,前立腺疾患,特に進行期前立腺癌ではACP活性の上昇がしばしば観察される1).前立腺組織以外では,膵臓,肝臓,腎臓,リンパ球,血小板などでも比較的高いACP活性が認められ,これら臓器あるいは細胞の損傷時には細胞外へ逸脱したACPが血中に遊離し,血液中のACP活性が上昇することになる.
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