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特集 小児臨床検査2024
Ⅶ.血液生化学検査
1.酵素および関連物質 1)アミラーゼ,リパーゼ,トリプシン
Amylase, lipase, trypsin
平井 沙依子
1
,
鈴木 光幸
1
Saeko Hirai
1
,
Mitsuyoshi Suzuki
1
1順天堂大学小児科
キーワード:
急性膵炎
,
慢性膵炎
,
膵外分泌機能不全
Keyword:
急性膵炎
,
慢性膵炎
,
膵外分泌機能不全
pp.152-155
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001905
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1 検査の意義と適応
アミラーゼ,リパーゼ,トリプシンは,それぞれ体内で糖,脂質,蛋白質を分解する消化酵素である。これらの消化酵素は膵臓の腺房細胞で合成される膵液に含まれており,管腔内消化の中心を担っている。膵液にはその他さまざまな消化酵素(膵酵素)があり,アミラーゼとリパーゼ以外の膵酵素は,食間には消化作用のない不活性型として腺房細胞内に蓄えられている。摂食により分泌されたコレシストキニンや迷走神経刺激によって膵酵素は膵管内に放出され,十二指腸内へ分泌される。膵酵素前駆体であるトリプシノーゲンが十二指腸内のエンテロキナーゼにより活性化されてトリプシンとなることですべての膵酵素前駆体が活性化され,食物の消化に寄与する。膵酵素の異所性活性化や,膵臓の障害または膵管内圧の上昇が起きると,血中に膵酵素が逸脱して増加する。膵酵素の測定は膵疾患の診断や治療の効果判定,経過観察の目的に施行されるが,アミラーゼにおいては膵臓の他にも唾液腺,肝臓,肺,小腸,卵管,筋肉にも存在しており,おのおのの障害でもアミラーゼは異常値を示すことがある。
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