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編集室より
Y
pp.922
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104468
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●「軽症患者の時間外受診が医療現場を疲弊させている」と考えていた私は,知人に「医師が診察する前に,その患者が軽症か重症かなんて,どうやって把握するのか?」と問われ,返す言葉がありませんでした.●軽症だろうが重症だろうが,内科だろうが外科だろうが,来る者を拒まずに引き受ける救急診療.本特集の座談会で「救急車を絶対に断らない」意気込みや風土が紹介され,ジェネラリストこそが救急医療を支えるという意味が,ようやくわかりかけてきました.逆説的ですが,ジェネラリストとは,“ジェネラルに診るという意味のスペシャリスト”なのだ,と.●ジェネラリストとして幅広い状況に対応するためには,初めてのことに挑戦し続けなくてはなりません.それを支えるのは,「何かあったら引き受ける」という先輩や上司の存在です.裏を返せば,24時間365日途切れない患者を救うために,自分が不在の間も同様に診療できる存在をつくらなくてはならない,その覚悟が人を育てるのでしょう.●人を育てるためには,自分が力をつけるのはもちろん,「一所懸命に教えることがとても大事」という林寛之先生の言葉が印象的でした.熱心に教えられたと感じている事柄は,今も大切にしていることに改めて気づいたからです.●知識や技術を機械的に伝達するだけではなく,その背後にあるマインドを伝えること.それが“同志”を増やすことにつながり,自分が従事する領域の質をより向上させる鍵なのかもしれません.
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