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編集室より
Y
pp.366
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104344
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●数年前『絵でみる免疫』というムックを担当する機会に恵まれました.お原稿を拝読し「人体の精巧さ」に驚嘆し,「精巧さゆえの暴走」に驚愕し,「自己か非自己か」という深遠な問いに誘われました.アレルギーについて学ぶのは面白い.けれども体験するのは痒く,つらいものでした.●ふとした拍子に蕁麻疹が現れるようになり,日を追うごとにひどくなる症状.しかし,いざ受診をと思っても蕁麻疹は神出鬼没,なかなか受診できません.痒くてかなわないなぁと思いながら,まるで立体的な世界地図のように広がる膨疹をなだめすかし,「一生これと付き合うのか……」と,抑うつ状態に陥りかけました.幸か不幸か,別件で救急搬送された際,診察中に蕁麻疹が出現,その場で治療していただくことができました.●花粉症の時期に人格が変わるほどのひどい症状に悩まされていた父は,「花粉症が治る」と評判の医師を受診したとかで,それまでと違う治療法で「ピタリと治まった」そうです.●いずれも幸運な出会いに感謝すべきなのでしょうが,少なくない人が,診察室で緊張しながら,お忙しい先生に診ていただくことに恐縮しながら,「現存しない症状は相談できない」「違う治療法について質問できない」(と思い込んでいる)ことに思いを馳せずにはいられません.座談会で岡田正人先生がご紹介くださったような問診票が広く普及すれば,多くの患者が治る喜びに加え「診療に貢献できた」というささやかな満足に出会えるかもしれません.
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