連載 見て・聴いて・考える 道具いらずの神経診療・3
―患者が診察室に入ってきた,その瞬間を捉える2―表情からわかること
岩崎 靖
1
1小山田記念温泉病院 神経内科
pp.551-556
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103283
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第1回は問診表について,第2回は患者が診察室に入ってきた際の姿勢について観察のコツを書いた.今回は診察室入室時の表情について,観察のコツを書いてみたい.「表情を読む」ことは,社会的存在としての人間にとっても重要な課題である.一方,パターン認識でもあり文章で表現するのは難しいが,神経疾患との関連がなるべくわかるよう概説したい.
患者が診察室に入る瞬間から,向かい合って座り,問診中,診察中に表情を観察することは重要な神経学的診察である.表情の観察は,「それでは表情を観察させていただきます」と患者に言うわけではなく,常に観察を続ける必要がある.一方,顔面や舌,咽頭の動きを含めた脳神経系の神経学的診察では,患者に「眼をつぶってください」,「舌を出してください」,「あー,と声を出してください」などの口頭指示をして診察する.これらの脳神経系の所見の取り方については,神経学的診察のなかでも最初に行う重要な検査であるが,今回の論点とは異なるので成書を参照していただきたい.
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