連載 見て・聴いて・考える 道具いらずの神経診療・2
―患者が診察室に入ってきた,その瞬間を捉える(1)―姿勢からわかること
岩崎 靖
1
1小山田記念温泉病院 神経内科
pp.351-356
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103238
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第1回では患者が診察室へ入る前段階として,問診表のウラを読むコツを書いた.今回からは患者が診察室へ入室する際の観察点のコツについて「患者が診察室に入ってきた,その瞬間を捉える」と題して,①姿勢からわかること,②表情からわかること,③歩行からわかること,④話し方からわかること,の4回に分けて書いてみたい.
神経内科医にとって,診察室に入ってくる患者を観察することはきわめて重要であり,患者が診察室に入ってきて,向かい合って座り,問診を始めるまでの数秒~数十秒の間に得られる情報は膨大な量である.姿勢,歩容,表情,不随意運動の有無などを観察することが可能であり,時には診察室に入ってきた瞬間に診断がつくこともある.最近は,電子カルテやオーダリングシステムを導入している病院が多いが,患者が診察室に入ってくるとき,あるいは出ていくときにコンピュータ画面に向かって記録を打ち込んでいて貴重な瞬間を見落とすことがあってはならない.また,いずれの科でも当然のことであるが,患者が診察室に入ってくるときにアイコンタクトを含めて相手としっかり向き合うことは,その後の問診・診察を含めて患者-医師関係を築くうえできわめて重要な第一歩であることは言うまでもない.
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