連載 Case Study 診断に至る過程・10
病歴と身体所見1
松村 正巳
1
,
狩野 恵彦
2
,
上田 幹夫
2
,
Lawrence M. Tierney Jr.
3
1金沢大学医学部付属病院リウマチ・膠原病内科
2石川県立中央病院 血液内科
3カリフォルニア大学サンフランシスコ校
pp.1190-1195
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102801
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病歴&身体所見
58歳,男性
主訴:発熱,腰痛
現病歴:高血圧と尋常性乾癬で通院中であったが,3週間前から倦怠感を自覚していた.5日前から38℃台の発熱,悪寒,腰痛が出現した.2日前には整形外科を受診し,乾癬性関節炎が疑われ,ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)が処方された.しかし,発熱が全く治まらず救急外来受診し,入院となる.
既往歴:51歳時から高血圧,54歳時から尋常性乾癬の治療を受けている.
内服薬:ニフェジピン(アダラートL®20mg)2錠/分2,フロセミド(ラシックス®20mg)1錠/朝,塩化カリウム(スローケー®)1錠/朝
家族歴:特記事項なし.
嗜好:たばこは吸わない.お酒も飲まない.
最近の旅行歴,発熱のある人との接触もない.ペットは飼っていない.
身体所見:血圧84/50mmHg,脈拍120/分,不整,呼吸数28/分,体温39.0℃.意識レベルJapan coma scale3.眼底,耳,鼻,口腔内に異常所見はなし.リンパ節腫脹なし.手掌,指先,足底に圧痛のない紫斑が散在している(図1).両側上腕に尋常性乾癬の皮疹を認める.吸気時に肺底部にラ音を聴取する.心尖拍動は鎖骨中線より外側に径3.5cm触れる.胸骨左縁第3肋間にgrade2の拡張期雑音を聴取する.腹部に異常所見なし.腰の痛みを訴えるが,明らかな圧痛は認めない.頸部硬直はない.
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