連載 Case Study 診断に至る過程・4
病歴,そして身体所見
松村 正巳
1
1金沢大学医学部附属病院リウマチ・膠原病内科
pp.2106-2108
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101456
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本シリーズではCase Studyを通じて鑑別診断を挙げ,診断に至る過程を解説してみたいと思います.どこに着目して鑑別診断を挙げるか,次に必要な情報は何か,一緒に考えてみませんか.
さて,今回の患者さんです.
病歴&身体所見
34歳,男性
主 訴:発熱,両膝関節炎
現病歴:受診の18日前から発熱と両膝の痛みが出現し来院した.5年前に初めて,左の膝関節炎を患った.他院の整形外科で膝の関節にたまった水(関節液)を抜いてもらって,関節炎は消退した.その後は症状がなかったが,13カ月前に発熱と左膝関節炎が,10カ月前には右膝関節炎と右足関節炎が出現した.いずれも他院の整形外科を再び受診したが,診断はつかなかった.そこで行われた血液検査の結果はWBC 10,100/μl,CRP 6.78mg/dl,リウマチ因子は陰性であったという.3カ月前には右の手関節炎が出現した.今度は他の病院を受診したが,やはり診断はつかなかった.いずれの関節炎のエピソードも非ステロイド系消炎鎮痛薬の内服で,数日から数週で緩解した.よくよく話を聞くと,患者さんは症状に一定のパターンがあるという.最初に咽頭痛が出現し,2~3日後に38℃程度の発熱が認められる.そして4~5日後に関節炎が出現するという.さらに,下肢に圧痛を伴った皮疹も毎回出るという.視力の異常を感じたことはなく,口腔内や陰部にアフタらしきものが出たこともないという.
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