カラーグラフ 手で診るリウマチ(9)
CREST症候群の石灰沈着,小児皮膚筋炎(childhood dermatomyositis)の石灰沈着
上野 征夫
1
1寿生病院
pp.1606-1607
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102218
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強皮症(sclerodermaあるいはsystemic sclerosis)には大ざっぱに分けて2種類ある.1つは,皮膚の硬化が指より始まり,次第に上行して四肢の遠位・近位,顔面から体幹の皮膚にまで及ぶもの.もう1つは,硬化性病変が四肢の遠位部に限られ,顔面皮膚も硬くなることがあっても,体幹部には病変が進行しないタイプである.前者を広汎型強皮症(diffuse scleroderma),後者を限局型強皮症(limited scleroderma)と呼ぶ.限局型強皮症では,しばしばCREST症候群と称される特異な臨床像を伴っている.CRESTとは,calcinosis(石灰沈着),Raynaud's phenomenon(レイノー現象),esophageal dysmotility(食道蠕動の異常),sclerodactyly(指硬化),およびtelangiectasia(毛細血管拡張)のおのおのの頭文字をとったものである.
図1は,手のひらの皮膚毛細血管拡張を示している.毛細血管拡張の好発部位は,手,顔面,口腔,前胸部などである.口腔粘膜に出現している場合,Osler-Weber-Rendu病に似る.
図2(UCLA, Daniel Furst氏提供)は,示指先端の皮下石灰沈着を示している(図2矢印).石灰沈着の最好発部位は手で,73~86%は手に認められ,しかも指先端の橈側部に多い.大きさは,点状のものから結節状のものまでさまざまで,沈着部位は皮下組織,関節滑膜,時に腱鞘である.また,皮膚の表面に露出してくることもある.組成はハイドロキシアパタイト(カルシウムリン灰石)よりなっている.
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