特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
酵素および関連物質
ADA
佐藤 典治
1
1東京大学医科学研究所ゲノム診療部
pp.198-200
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101774
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ADA(adenosine deaminase)は哺乳類のすべての細胞にみつかる酵素で,その主な局在は細胞質である.作用としては核酸のアデノシンと2′-デオキシアデノシンをイノシンあるいは2′-デオキシイノシンへ変換する働きがあり,このとき同時にアンモニアが生じる.
ヒトにおいてADAの酵素活性が一番高いのは胸腺とリンパ組織で,筋肉,肝臓,腎臓,血液などでは比較的活性が低いとされる.腸管の細胞(特に十二指腸の上皮)もADA活性が高い.胸腺や末梢血T細胞の解析ではADA活性は成熟とともに低下することが知られている.中枢神経系の発達もADAの影響を受けることが知られていて,ADA欠損の小児には神経障害がみられることがあるが,これはADA補充療法で改善する.ADAは細胞表面にもみつかる(ecto-ADA)が,この細胞表面のecto-ADAの発現調節についてはよくわかっていない.Ecto-ADAはおそらくCD26などの分子に結合することにより,co-stimulatory分子として働いているものと思われる.そしてこの第2の機能に関して,酵素活性は関係していないものと考えられている.
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