今月の主題 プリン体代謝とその異常
病態
ADA・PNP異常症
藤井 寿一
1
Hisaichi FUJII
1
1東京女子医科大学輸血部
キーワード:
重症複合免疫不全症
,
遺伝性溶血性貧血
,
遺伝子治療
Keyword:
重症複合免疫不全症
,
遺伝性溶血性貧血
,
遺伝子治療
pp.291-293
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901465
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はじめに
アデノシンデアミナーゼ(adenosine deami-nase;ADA)とプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(purine nucleoside phosphorylase;PNP)はプリン代謝系の酵素で,ADAとPNPの活性低下は免疫不全を,ADAの著明な活性亢進は溶血性貧血をきたすことが知られている.ADA欠損症は酵素補充療法や骨髄移植などの有効な治療を施さないかぎり致死的な疾患であり,遺伝子治療の格好の対象として注目を集め,現在米国NIHで2人の患者で実施されている1).一方,ADA活性亢進による遺伝性溶血性貧血は構造上正常な酵素蛋白の百数十倍にも及ぶ過剰産生による特異な病態で2),組織特異的な発現調節機構の解明に重要である.
以下,本稿ではこれら疾患の概要と診断法について述べる.
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