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ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)は,マトリックスメタロプロテアーゼ近縁遺伝子ファミリー分子で,多機能を持ち,40種類の遺伝子が知られているが,ヒトでは21種類のみが機能していると考えられている.膜型ADAMと分泌型ADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)に分けられ,膜蛋白のシェディング,細胞外マトリックス分子の分解などを通じて,組織発生,炎症,腫瘍形成など多くの生命現象に関与している.膜型ADAMはプロドメイン,メタロプロテアーゼドメインに加えて,ディスインテグリンドメイン,システインリッチドメイン,細胞膜貫通型ドメイン,細胞内ドメインからなる.メタロプロテアーゼドメインにHEXXHXXGXXH配列を有し,3個のヒスチジン残基にZn2+が配位し,メチオニン残基を含む “Met-turn” 構造が補強することで基質分解活性をもつことができる.このうち,ADAM12は筋管形成に関与する膜貫通型タンパクとして,1995年に本邦よりはじめて報告された1).
ADAM12はプロテアーゼ活性に加えて,細胞接着や細胞シグナル伝達に働き,頭部と体部,尾部の三つに分けられる.頭部はプロドメインとメタロプロテアーゼドメインから成り,epidermal growth factor(EGF)やinsulin-like growth factor(IGF)レセプターのシグナル伝達に関与している.体部はディスインテグリンドメインとシステインリッチドメイン,EGF様ドメインから成り,インテグリンやシンデカンとの相互作用を介して細胞外マトリックスおよび他の細胞との接触に関与する.尾部は細胞膜貫通型ドメインと細胞内ドメインから成り,細胞内シグナル伝達分子との相互作用に関与している.
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