今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈骨盤内臓器(子宮)〉
子宮筋腫
佐久間 亨
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.285
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100992
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子宮筋腫はその存在部位により,内膜下,筋層内,漿膜下に分類される.超音波検査上は子宮筋層内あるいは筋層に接して境界明瞭な類円形充実性腫瘤を呈する(図1).帯状の高輝度を示す子宮内膜は腫瘤により圧排扁平化している.輝度は筋層と同等かあるいは低輝度で,車軸状あるいは斑紋状を呈し,腫瘤による超音波の減衰が強いことから,腫瘤後方に音響陰影を伴うことが多い.
診断上の注意点としては,以下が挙げられる.①子宮筋腫が,内部の変性状態により輝度や後方エコーが異なり,硝子様変性,石灰化変性では超音波の減衰が高度のため強い音響陰影を伴う.赤色変性や脂肪変性では,全体が中から高輝度を呈し,一部に低輝度域を伴い,水腫様変性では単房性あるいは多房性囊胞像を呈する.②有茎性の漿膜下筋腫は時に充実性の卵巣腫瘍との鑑別が困難な場合があり,正常卵巣の有無を確認することが必要となる.③時に重複子宮,双角子宮,あるいは後屈子宮が腫瘤状を呈する場合がある(図2).
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