今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈骨盤内臓器(子宮)〉
子宮癌
佐久間 亨
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.286
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100993
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子宮体癌は,筋層内浸潤がない場合には,筋層よりも高輝度で,正常の子宮内膜に比較しやや低輝度を示す内膜領域の肥厚として描出される.筋層内浸潤が進むと不整な輪郭を呈するとともに,内膜周囲の低輝度の層が消失したり,不規則になる(図1).子宮内膜の肥厚像は内膜増殖症,内膜ポリープ,血腫,子宮留膿腫でも認められ,エストロゲン補充療法中にも厚くなるので注意が必要である.閉経後の場合,子宮内膜が10mmを超える場合には内膜増殖症あるいは内膜癌を疑い,子宮内膜組織診を考慮する必要がある.
子宮頸癌は経腹超音波では頸部の不整な腫大として描出され,頸部の閉塞に伴い,子宮体部は子宮留水腫あるいは留膿腫を呈し,内膜領域の拡張が認められることが多い.したがって,逆にこれらの病態が認められたときには,頸部を観察し,腫瘤の有無を確認することが必要である.Nabothian cystは子宮頸部の感染後に形成される貯留囊胞であるが,時に著明に大きくなり腫瘍性病変と誤られることがあり,注意が必要である.
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