今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈腹部大動脈・その他〉
門脈圧亢進症
松谷 正一
1
,
丸山 紀史
1
,
税所 宏光
1
1千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
pp.283
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100991
- 有料閲覧
- 文献概要
門脈圧が持続的に上昇すると,脾腫や血球減少,腹水が出現する.さらに門脈系と大循環との間に短絡路が発達すると,消化管静脈瘤と出血,肝性脳症など多彩な臨床所見を呈する.
1. 門脈の変化
肝外門脈閉塞症を除くと,門脈圧上昇に伴って門脈は拡張し,流速が低下する.また呼吸による径の変動が減少する.進行した例では,狭小化や逆流がみられることがある.門脈内に血栓が形成されると門脈圧亢進や増悪因子となる.血栓のエコー輝度や占拠部位はさまざまである.診断にはカラードプラを併用する.門脈閉塞が生じると,周囲に肝臓へ向かう側副血管が形成される.高度なものを,海綿状変化(cavernomatous transformation)と呼ぶ(図1).健常者の門脈径は9.3±1.1mm,平均血流速度は13.2±2.9cm/sec.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.