今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈腎(非腫瘤性)〉
腎結石
佐久間 亨
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.249
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100958
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腎結石の大部分(95%)は腹部単純X線で捉えることが容易な石灰化を伴う結石であるが,残り5%の尿酸結石は見えないことが多い.しかし超音波検査ではこのような尿酸結石の確認も容易である.腎は大きく腎洞部,髄質,皮質に分けられる.このうち腎洞部は腎動静脈,腎盂・腎杯,脂肪織などからなっており,超音波上は比較的高輝度を呈し,中心部エコー像(central echo complex:CEC)と呼ばれる.腎結石はこのCEC内に高輝度病変として捉えられ,背側には音響陰影を伴うことが多い(図1).検査上は結石の位置,大きさ,個数を確認し,腎盂・腎杯の拡張の有無や腎盂尿管移行部の結石の有無などを同時に観察する.
診断上の注意点としては以下が挙げられる.①腎盂・腎杯を鋳型状に占めるサンゴ状結石では音響陰影により腎実質の一部の描出が得られず,腫瘤性病変を見落とす.②腎杯憩室内の結石(図2).腎杯憩室はCECに接してその外にある腎杯と交通する先天性の囊胞で,憩室内部に結石形成を起こしやすい.小結石のためコメットエコーやmilk of calciumと呼ばれる液面形成を呈する.体位変換により可能性を確認することで,壁石灰化を伴った腎囊胞と鑑別する.③腎血管の壁,あるいはその石灰化は高輝度やコメットエコーを呈するため紛らわしく,線状の形状や位置により鑑別する.④5mm以下の小さい結石の場合には,超音波ビームの方向によっては音響陰影を伴いにくく,体位変換によりできるだけ多方向からの観察を試みる必要がある.
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