- 有料閲覧
- 文献概要
1. 急性胆囊炎 右上腹部痛と発熱がある場合には,急性胆囊炎を疑って緊急に超音波検査が行われることが多い.急性胆囊炎の超音波像としては,胆囊の緊満,壁肥厚,内部デブリエコー,胆石嵌頓が挙げられるが,このうち胆囊の緊満だけが必発である(図1).短径で4cm以上が腫大とされている.壁肥厚は発症してしばらくしてからみられることが多い.層状の肥厚が特徴的で,高低高の3層を呈する.中央の低エコー帯をsonolucent layerと呼ぶ.急性胆囊炎の95%は胆石の嵌頓が原因といわれているが,超音波検査で嵌頓した胆石が描出されることはそれほど多くない.これは胆囊の腫大により胆囊頸部が深部に描出されるため,また高エコーである壁に結石がはさまっているためと思われる.胆囊内部に壊死物質や膿を反映した不整なエコーが浮遊もしくは沈澱してみられることがある.これをデブリエコーと呼ぶ.胆囊の穿孔や胆囊壁の透過性が亢進して,胆囊周囲に胆汁の貯留をきたすことがある.胆囊周囲炎の所見である.胆囊腫大は胆囊水腫や閉塞性黄疸でもみられるが,痛みや黄疸の有無などの臨床所見から鑑別は容易である.急性胆囊炎では,右肋骨弓下をプローブで押さえると痛がることも検査上のポイントである.
2. 慢性胆囊炎
慢性胆囊炎は急性胆囊炎に引き続いて起こるものや,胆石症に伴うものなどがある.超音波像としては,胆囊壁肥厚と胆囊萎縮が基本所見である.急性胆囊炎に引き続いて起こるものは,壁の線維化に対応して低エコーの壁肥厚となる.癒着が高度であると胆囊床の脂肪織が不明瞭で,特に胆囊炎の既往がはっきりしない場合は胆囊癌との鑑別が困難となる(図2).CTやMRIで肥厚した壁がよく造影されることが確認できれば慢性胆囊炎をより強く疑うことができるが,癌の可能性を否定しきれないため最終的には手術されることが多い.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.