今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈肝(腫瘤性)〉
肝内シャント
石田 秀明
1
,
小松田 智也
1
,
鈴木 俊夫
1
1秋田赤十字病院超音波センター
pp.223
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100934
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肝の血管系は2本の栄養血管(動脈,門脈)と1本の灌流血管から構成され,末梢組織のミクロレベルではそれらは互いに自由に交通(シャント)し合うが,通常肝内シャントとして扱われるのは,それよりは径が大きく(数mm以上),画像上限局性病変として認識可能なものを指している.原因としては,①急性,慢性肝疾患による組織破壊に起因するもの,②Osler病や動脈瘤などの血管病変に続発するもの,③肝生検や外傷による組織挫滅の一表現として,④原因不明,に大別される.シャント数の増加やシャント径の巨大化という特殊例を除くと臨床的な意味はなく,むしろ腫瘍などの他疾患との誤診が問題となることが多い.肝内シャントの診断法のうち最も効率が良く精度が高いのは,(ドプラを加えた)超音波検査であり,その診断のポイントは下記のごとくである.
1) 超音波所見(通常の白黒画像,図1):確定診断は困難であるが,肝内シャントを強く疑う所見は次の2つの場合である.①脈管に接した囊胞や形状不整な囊胞のうち,囊胞内に点状エコーの動きを認めるもの,または後方エコーの増強を欠くもの*),②肝内の末梢血管が部分的に拡張している場合**).
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