連載 ケアって何だろう・4
ターミナルケアへの接近
広井 良典
1
1千葉大学
pp.362-367
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905320
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前回まで,「ケア」ということが人間,とくに生物としての人間にとってどういう意味をもつものなのかについて考えてきた.今回からいわば「ケア各論」に入っていこう.
筆者のもともとの専攻は「科学史・科学哲学」という(あまり聞きなれないと思われる)分野であり,当初の予定では,ここで,しばしば「ケア」と対照させられる「サイエンス」つまり「科学」という営みについて,その歴史的・文化的起源や「医学」の位置,現代における変容などについて論を展開し,そこから「ケア」に新しい光をあててみる,ということを考えていた.しかし,議論に具体性とふくらみをもたせる意味から,また,筆者らは去る1月前半にターミナルケアに関するイギリス・スウェーデンでの状況調査に行ったが,それが大変印象深いものであったことから,今回から数回にわたってターミナルケアの問題をまず主題化したいと思う.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.