連載 米国の知的障害者サービスと脱施設化に学ぶ—わが国の痴呆性高齢者対策への警鐘・3
米国の知的障害者対策の歴史的展開(上)
武田 則昭
1
,
八巻 純
2
,
M. P. Janicki
3,4
,
T. Heller
2,4
,
末光 茂
1
,
江草 安彦
1
1川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
2イリノイ大学シカゴ校応用健康科学部人間発達障害学科
3ニューヨーク州オルバニー大学知的障害センター
4イリノイ大学シカゴ校RRTC ADD
2University of Illinois at Chicago, College of Applied Health Sciences, Department of Disability and Human Development
3University at Albany, Center on Intellectual Disabilities
pp.931-933
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902877
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はじめに
米国は連邦制をとっており,合衆国憲法に「憲法に定められていない事柄については,各州でこれを定める」と示されているごとく,多くの政策決定は州,郡あるいは市町村など地方自治体によってなされている1).それを受けて知的障害者サービス,財政,保険年金制度,医療保険制度なども州の独自性,自主性を尊重してその施策,運営全般にわたり州政府にゆだねられている2,3).その意味でも,地方分権が言われる日本にとって,米国の状況は大いに参考になると考えている.
今回の報告はタイトルを「米国」としているが,読者におかれては日本のような単一国家のイメージではなく,51(50州+ワシントン特別区)の集合体として認識していただきたい.本文中の米国での知的障害者問題については,全体像に併せて,可能な範囲で特徴ある州の施策や成果および課題を紹介し,説明を加える.
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