連載 米国の知的障害者サービスと脱施設化に学ぶ わが国の痴呆性高齢者対策への警鐘・9
わが国の痴呆性高齢者問題への解決点の模索(上)
武田 則昭
1
,
八巻 純
2
,
M. P. Janicki
3,4
,
T. Heller
2,3
,
末光 茂
1
,
江草 安彦
1
1川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
2University of Illinois at Chicago, College of Applied Health Sciences, Department of Disability and Human Development
3University of Illinois at Chicago RRTC-ADD
4University at Albany, Center on Intellectual Disabilities
pp.465-469
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100892
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高齢者問題は医学(基礎,臨床,社会),保健,福祉,工学等の各分野で積極性な取り組みがなされている1~3).また,わが国の高齢者対策は介護保険制度施行,各種関連法制度,計画の充実に伴い,医療,保健,福祉の壁を取り去り,それぞれが互いに学び与え,参加,協力するといった,真の保健・医療・福祉の連携の動きが見られている2,4).中でも痴呆性高齢者問題は,その複雑・多様・困難性から,より一層,十分で適切な連携が必要と考えられる.しかしながら,痴呆性高齢者対策は,超高齢社会の急激な到来を目前に,その取り組みの歴史が浅いこともあり,ある意味,試行錯誤の状況が見られる.
わが国は地方分権,コミュニティの脆弱化,若年層の少数化・個人主義・マニュアル人間化など,米国を想起させる現状がある.一方,わが国の社会・経済状況は当面,右肩上がりは期待できず,各種の制度,対策が効果的に運営される必要がある.そのためには,幼児・青少年教育の見直し(知育,徳育など)はもちろん必要であるが,国民全体にノーマライゼーション,自己決定の考え方(人間尊重が基本)を浸透させ,痴呆性高齢者問題に対しても適切な各種の政策を確立,推進していく必要がある.
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