連載 米国の知的障害者サービスと脱施設化に学ぶ わが国の痴呆性高齢者対策への警鐘・7
米国の知的障害者サービスと研究活動(上)
武田 則昭
1
,
八巻 純
2
,
M. P. Janicki
3
,
T. Heller
2
,
末光 茂
1
,
江草 安彦
1
1川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科教授
2University of Illinois at Chicago, College of Applied Health Sciences, Department of Disability and Human Development
3University at Albany,Center on Intellectual Disabilities, Albany,New York
pp.310-313
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100854
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本稿では,脱施設化の進む米国で新たに取り組まれている関連状況を,利用者のサービスへの参加,研究活動の特徴について紹介し(一部紹介,残りは次号),それらが「わが国の痴呆性高齢者対策への警鐘」となる点について考察する.
サービスへの利用者の参加
米国の知的障害者サービスは,サービスシステムを運営する行政府や実際の援助を提供する専門家(例:医師,看護師,セラピスト,直接援助職員)のみならず,サービスを受ける側の知的障害者やその家族の参加によって成り立っている.これは「サービスを提供する側よりもサービスを利用する当事者のほうが,サービスの内容やその提供方法を熟知している」という考えに基づいている.米国での知的障害者サービスは,行政・専門家から知的障害者の側に“上意下達”方式で提供されるのではなく,“対等の関係にある両者の協力”によって成り立っている.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.