特集 検診を検診する
先天代謝異常スクリーニングの確立過程の検証
松田 一郎
1
1熊本大学医学部小児科
pp.241-245
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901669
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Bickelがフェニルアラニン(phe)摂取量を制限すればフェニルケトン尿症(PKU)の発症を予防できると報告したのと,Guthrieが乾燥血液濾紙を用いて血中phe濃度を測定する手法を考案したのを契機として,PKUの新生児マススクリーニングが世界的規模で普及することになった.その後,他の疾患も加わりマススクリーニング定着の要因となった.新生児マススクリーニングは早期発見,早期(予防)治療を目指したもので成人病の集団検診と類似の発想と解されたが,始めてみるといろいろと問題が出てきた.第1は対象疾患のいくつかが遺伝病であるため,genetic screeningとしての性格をもつことで,それへの対応,例えば遺伝カウンセリングの必要性,遺伝子解析によるスクリーニングの可能性などが問題として浮かんできた.もう1つはbiomedical ethics(医学生物倫理)としての側面で,これについては今後も詰めなければならない多くの問題がある1〜4).
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