特集 水銀汚染—水俣病よりグローバルな環境問題へ
水銀汚染の今後の対応
滝澤 行雄
1,2
1国立水俣病研究センター
2前 秋田大学医学部公衆衛生学教室
pp.336-339
発行日 1995年5月15日
Published Date 1995/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901261
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はじめに
水銀汚染を論ずるとき,日本で再度経験した水俣病の発生を抜きにはできない.水俣病はメチル水銀で汚染された魚介類を多食して起こっており,自然界の媒体を通して濃縮し,人体に蓄積するという食物連鎖が介在した事件として,日本では公害の原典とされ,また国際的に広く環境汚染に対する警鐘と受けとめられているものである.
元来,水銀は大気,地・水圏において鉱山および鉱染地帯を除き,鋭敏な測定器で感ずる程度の微量しか存在しないのが普通である.しかし,生物活動圏では連鎖機構で比較的高濃度に濃集し,その影響はアマゾン川流域の水銀禍でみるように,いまや看過できない現状にある.
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