保健活動—心に残るこの1例
脳性麻痺のあるK君の成長を支えて
澤登 智子
1
1埼玉県寄居保健所
pp.436
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901059
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平成2年3月に36週1,562gで出生したK君は,SFD(在胎週数に比較して体重の少ない新生児)のためクベース(保育器)に収容され,出生翌日から光線療法を96時間受けた.その後,体重増加は良好で生後42日目で退院でき,その時は神経学的な異常所見は認められないとのことだった.
K君の家は,両親と父方の祖父の4人家族である.祖父は農業,父は自営業で忙しく,母親は家事をしながらK君の育児となり,負担が大きかったのか4kgも痩せてしまったとのこと.実は,母親は手と足に軽い麻痺があり,話し方も少しぎこちなさのある方である.だが,K君の定期健診や保健所での育児学級には必ず出向き,本当に熱心に育児に取り組んでいた.K君が5カ月になっても首がすわらないため,訓練を受けるようにと定期健診の折に指示が出た.母親は「どこか悪い病気でしょうか?」と心配そうだった.乳児が訓練を受けるということがよくイメージされず,紹介先の施設もどんな所なのか不安な様子だったので,保健婦より施設へ連絡をとり,初回は同伴することにした.
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