連載 管理者日誌・10
M君の成長を支える地域のケアサポートシステム
井上 弘子
1
1北海道総合在宅ケア事業団
pp.835-836
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901403
- 有料閲覧
- 文献概要
悪夢のような出来事
M君は小学校2年生の時,下校途中のスクールバスを降りた直後に対向車にはねられ,瀕死の重傷を負いました。呼吸停止,心停止となった状態で病院に運ばれ,救命処置により心拍動が再開されたのですが,自発呼吸はなく,昏睡状態が続きました。CTスキャンの結果,外傷性クモ膜下出血の所見と,頸椎の亜脱臼が認められました。入院翌日より意識は少しずつ改善してきましたが,呼吸中枢の障害による呼吸不全のため,自発呼吸は見られず,四肢の運動麻痺が残りました。
しかし幸いなことに,M君の場合,延髄から脊髄への移行部の圧迫障害ではありましたが,知覚障害,膀胱直腸障害,嚥下障害等は見られず,主として呼吸中枢のみに限局した障害という特殊なケースでした。気管切開による人工呼吸器を使用しての呼吸管理が行なわれましたが,安定した呼吸を維持するためには,生涯人工呼吸器を離せないことが両親に説明されました。また,M君の意識が回復し,急性期を脱した頃からリハビリテーションが始まりました。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.