海外事情
スウェーデンにおける公衆衛生上の課題
黒沢 洋一
1
1鳥取大学医学部公衆衛生学教室
pp.446-449
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901062
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●はじめに
1992年9月より約半年間,公衆衛生分野(主に産業衛生)の研究のため,スウェーデンに滞在したので,その報告としてスウェーデンにおける今日の公衆衛生の課題について若干述べたいと思う.スウェーデンの今日の公衆衛生の課題は,生活様式が欧米化する日本のこれからの課題を考える上で参考になると考えられる.
スウェーデンの国土は日本の約1.2倍,人口は860万人で,日本の12分の1に過ぎない.また,65歳以上が約20%を占める超高齢社会である.しかし,近年,ストックホルムの街行く乳母車の多さに驚かされるほど,出生率が回復しはじめているので,高齢化社会にも光明が見えはじめている.
ここで,スウェーデンの保健医療サービスについて簡単に説明する.外来患者の診察は初期医療地区に組織されている保健センターで行われる.保健センターには,地区医師,地区看護人,助産婦なども含まれ,一般診療,小児科,産婦人科などがあり,4歳児検診,子宮がん検診等の予防医学も行っている.保健センターからの紹介,救急の疾患,特別な疾患等による入院患者は地区および中央ランスティング(県に相当)病院が担当している.
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