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fulminating Polyneuritisの像で欠乏が原因であることは小児にまれでなく,異常の尿K排泄,消化管K喪失がSataline (J. Urol. 85:559,1961),Carroll (J. Neurol.Neuro—surg.Psych.27:5, 1964), Staffu—rth (Am. J. Med.33:800,1962)などによつて報ぜられ,成人では脂肪便でK欠乏性麻癖は周知のごとくである。著者例は41/3歳少女,急性重症進行性の衰弱で運び込まれた。生後14日ごろから,のろのろ,消極的,走れない性質。腹部膨満排便1日2行。糞大量,無形,特臭あり。入院2週前水様便,回数増す。ますますinactiveとなりexercise tolerance激減,多飲多尿となり,入院前日unsteady gait,ついに歩けなくなり,当日は躯幹上肢に強い脱力あり,fulminating polyneuritisの像である。入院第1日血清K1.3mEq/L,早速10mEq/24hのK投与。第2日,経口的45,静注52mEqのK投与で,血清Kは2.6,2.6,2.8,3.0となる。Caは5.8mg.第3日60mEqのK静注,尿K排泄6.2,便K15.7 mEq/24h,血清K2.9,Ca8.9mgでparalysis軽快せず,pH7.49動脈血pCO233〜41 mmHgs血清Na 140,HCO3−25.9mEq,base excess 2.4mEq。第4日70 mEqのK投与,血清K3.2,Ca 9.4,第5日50mEqのK投与で血清K 5.8となり,ようやく麻痺去り,筋力増加した。その後第21日まで尿K排泄26.2mEq,便K 33.6〜22.5mEq,血清Kは4.8に維持された。精査の結果 gluten induced enteropathyなることを確かむ。この患者は入院時からCSF異常なく,真正poly—neuritisとは考えられなかつた。ECGは明らかにK欠乏像を示した。正常成人の便K排泄は10〜15mEq,脂肪便で25〜66mEqだから,本症患者のK欠乏は当然である。Ca欠乏も同時にあつた。しかしテタニーはなかつた。そうしたテタニーなき低Ca血症は他にも報告がある。
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