特集 地域保健をどうすすめるか—保健所長はこう主張する
環境保健と保健所活動
小亀 正昭
1
Masaaki KOGAME
1
1兵庫県三田保健所
pp.699-703
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900896
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■はじめに
第二次世界大戦後のわが国における公衆衛生は,昭和21年に制定された日本国憲法第25条によって社会福祉,社会保障と並んで健康で文化的な生活を営むための社会の大きな柱として位置付けられた.そして,昭和22年に全面改正された保健所法によって保健所が地域における公衆衛生行政の第一線機関として再発足した.C. E-A. Winslowの定義によると,公衆衛生の目標は地域社会のすべての人々の健康を向上させることであり,そのためには環境衛生,疾病予防,医療,生活水準の保障など幅広い分野における共同社会の組織的な努力を重要視しているが1),保健所の担ってきた活動は,時代の変遷や地域の特性に応じた公衆衛生の実践そのものであったように思われる.
しかし,現在に至るまでの間,昭和43年の「基幹保健所構想」,昭和47年の「保健所問題懇淡会基調報告」,平成元年の「地域保健将来構想報告書」など何度かの保健所見直しが検討されてきた.今年1月からは公衆衛生審議会・総合部会において地域保健の総合的な見直しの審議が始まり,7月には同部会から厚生大臣に対して「地域保健対策の基木的な在り方について」の意見具申がなされた.
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