特集 地域保健をどうすすめるか—保健所長はこう主張する
母子保健事業における連携
大矢 紀昭
1
Noriaki OHYA
1
1京都府宇治保健所
pp.704-708
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900897
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
「出生率,史上最低,1.50人」.平成5年6月5日(土)の朝刊第一面の見出しである.平成4年の人口動態によると,1年間の赤ちゃんの出生数は日本全国で約1,209,000人,1人の女性が生涯に子どもを産む数を示す「合計特殊出生率」も1.50人と,ともに史上最低を記録した,と大きく報道している.出生率の低下は死亡率のいかんにかかわらず,高齢化社会をすすめることを考えると,少子化時代の今こそ母子保健は従来にも増して日本社会にとって大切な分野と思われる.筆者は元来小児科の一臨床医であったが,平成3年4月より京都府宇治保健所の所長として勤務している.本保健所は京都府の南部,滋賀県との県境に位置し,宇治市(人口18万),城陽市(人口8万),久御山町(人口2万)の2市1町を管轄するU1型保健所である.今回は宇治市(保健婦は母子保健担当9人,成人保健担当5人,予防注射担当1人)を中心に,宇治保健所との母子保健に関する事業分担の現状とその問題点について,宇治市1)と保健所事業報告書2)を参考にして考えてみた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.