特集 保健所活動に期待する—高齢化社会への挑戦
老人保健活動と保健所
古市 圭治
1
Keiji FURUICHI
1
1厚生省公衆衛生局地域保健課
pp.621-626
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206760
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■はじめに
老人保健法は,昭和57年8月第96国会で成立し,本年2月から実施されたところである.法案の国会提出(56年5月)から施行までの期間が比較的短かったこと,また実施主体を全面的に市町村としたことから,老人保健事業の実施にあたる自治体では,当初は,年次計画の策定,健診方法,都道府県と市町村の役割分担等について,かなりの御苦労があった.しかし法律が全面的に施行されて半年を経過した現在,本法の成立を契機として,従来から行われていた保健施策が一段と強化され,保健水準の着実な向上を示しつつある地域の報告を聞く機会が多くなったことは,誠に心強い限りである.
老人保健法は,我が国の人口の急速な高齢化と老人医療費の財政的圧迫という時代の情勢から,比較的短期間の国会審議で成立をみたことは事実であるが,これに至る経緯は,表にみるとおり,昭和38年の老人福祉法(老人健康診査)以来20年,老人医療費支給制度から10年を要している.
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