報告
アルコール依存症に関する医師へのアンケート調査
野田 哲朗
1
,
香西 孝純
2
,
河原 和夫
3
,
佐藤 滋
4
Tetsuro NODA
1
,
Takasumi KASAI
2
,
Kazuo KAWAHARA
3
,
Shigeru SATO
4
1大阪府福祉部児童福祉課
2大阪府枚方保健所
3厚生省保健医療局国立病院部
4大阪府四条畷保健所
pp.217-221
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900773
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1.はじめに
われわれは,日常の公衆衛生活動のなかで住民の健康に及ぼすアルコールの影響が無視しえない状況になっていることを実感している.
大阪府保健所が行っている中小企業従業員を対象とした循環器検診では,アルコール性の肝疾患が40〜50歳台男性の約10%に認められているし1),平成元年に救急医療の問題点を探るためにわれわれが中年期男性の循環器疾患死亡者の調査を実施したところ,調査対象者の約20%にアルコール関連問題が認められている2).また,家庭崩壊に陥ったアルコール依存症者や児童虐待の背景に,親のアルコール依存症が潜んでいたケースなどの相談を受ける度に,1次,2次予防を重視したアルコール関連問題対策の必要性を痛感する.
1985年の日米共同研究ではわが国のアルコール依存者数を220万人と推計しているが3),実際にアルコール依存症治療を受けている患者は,年間高々2万人程度4)と極めて少なく,その大半はアルコール関連疾患のために内科等の医療機関を受診していると推測される5,6).
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