- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
依存症は,「有害な作用があるにもかかわらず使用を継続し,離脱症状,あるいは耐性などの症状を含む症候群」1)のことを指し,身体依存と精神依存がある.アルコール依存症になると,アルコールを摂取したいという強い欲求と衝動があり,自制が困難となる.大酒家=アルコール依存症というわけではないことには注意が必要である.また,アルコールの量と依存症は必ずしも一致するものではない.国際疾病分類(International Classification of Diseases)第10版(ICD-10)では,アルコールだけでなく,大麻や覚せい剤,現在問題となっている危険ドラッグなどの精神作用物質すべての依存をまとめて1つの依存症候群として診断されている.
また,精神症状としては7つの亜型に分類され,アルコール依存症では,妄想性のもの,幻覚性のもの,うつ病性症状のもの,躁病性症状のものがしばしば認められる2).治療としては,断酒や薬物療法,精神療法,作業療法などが併用されることが多く,医師,看護師,臨床心理士,精神保健福祉士など多くの職種がかかわりながら入院から外来治療につなげていく.また,患者が地域に帰る場合,復職する場合はその企業の産業医と連携し,復職しない場合は断酒会やアルコホーリクス・アノニマス(alcoholics anonymous:AA)などの自助グループにつないで治療継続を援助できるようにアプローチをしていく.筆者が勤務する平川病院では,このほか内科的問題には内科医による治療,身体リハビリテーション,管理栄養士による栄養指導,依存症患者をもつ患者家族への家族会の取り組みなど,多くのプログラムをおよそ3か月周期にて実施し,当院のアルコールデイケアや他院のアルコールデイケア,自助グループなどに継ぐなどの連携をとっている.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.