調査報告
新潟労災病院内科における患者に対する禁煙教育の成果
貝沼 知男
1
,
庄山 文子
1
,
熊野 英典
1
,
荻野 宗次郎
1
,
富樫 満
1
,
嶋津 芳典
1
,
西野 勲
2
,
寺田 治男
2
,
大崎 直樹
2
,
斉藤 元
2
,
三浦 良史
2
,
阿部 良興
2
Tomoo KAINUMA
1
1新潟労災病院内科
2元新潟労災病院内科
pp.712-714
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900201
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●はじめに
WHO1)の提言をはじめ,人間の健康に及ぼす喫煙の有害性は,次第に実証されてきた.とくに先進国では喫煙者は減少しつつある.1980年WHOは,世界保健デーのテーマとして「喫煙か,健康か,選ぶのはあなた」のスローガンを掲げ,世界各国の政府に喫煙対策の推進を提言している.わが国では喫煙対策が立ち後れていたが,1987年に厚生省2)がいわゆる「タバコ白書」を発表して以来,喫煙問題に関する認識が高まりつつある.
喫煙による寿命の短縮,健康障害,体力低下,それらに要する医療費,非喫煙者に与える影響,環境汚染,火災など,喫煙による損失は大きい.また喫煙問題は,公衆衛生上の重要な課題であると同時に,臨床医学とも直接的な関わりをもっている.とくに喫煙と関連の深い諸疾患については,その予防,治療効果の向上,再発防止などのために,患者に禁煙を指導することは,臨床医の重要な責務であり,“患者に対する禁煙教育は治療行為そのものである3)”と考えられる.
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