映画の時間
—衝撃を超える真実の実話 ある少年の数奇な運命—エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命
桜山 豊夫
pp.440
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210285
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1852年のイタリア、ボローニャの街。逢瀬の後でしょうか、夜更けに若い女性が恋人を家から送り出す場面から映画が始まります。別の部屋では乳児のベッドの前で祈っている夫婦がいます。女性はその様子を隠れてのぞき見しています。何だか謎めいたシーンですが、後半、この冒頭シーンが重要な役割を持ちます。
それから6年後、同じ家(モルターラ家)に、カトリック教会異端審問所の補佐官が警察官を引き連れて訪れます。子どもたちを一人一人確認した上で、補佐官は7歳になっていたエドガルドという息子について、彼は幼児期に洗礼を受けており、カトリック教育を受けるために連行すると告げます。ユダヤ教徒である両親がエドガルドにキリスト教の洗礼を受けさせるはずもなく、抵抗するものの、当時のローマ教皇ピウス9世の意を受けた異端審問官のフェレッティ神父の命令によるもので、結局エドガルドは連行されてしまいます。
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