胃癌手術のロジック―発生・解剖・そして郭清・6
大網の運命にみるLangmanの真実
篠原 尚
1
,
春田 周宇介
1
1虎の門病院消化器外科
pp.448-457
発行日 2013年4月20日
Published Date 2013/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104535
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41 話が膵にそれて随分と回り道をしてしまったが,今回は「胃の腸間膜」である大網の完成まで一気に進もう.
270度の腸回転を見届けた横行結腸間膜は頭側に翻る.そして左側の大部分が,その頃には風船のように大きく膨らんだ大網と衝突する.例によって接触面の腹膜は変性して癒合筋膜となり,新たに二重構造の腸間膜(double mesentery)ができる.これが外科的[横行結腸間膜]である.つまりわれわれが横行結腸間膜と呼んでいる腸間膜は,実は【大網】(=発生学的背側胃間膜:緑)と発生学的横行結腸間膜(赤)の2枚が合わさったものを指している.その上で前者を[横行結腸間膜前葉],後者を[横行結腸間膜後葉]と呼んでいる.
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