天地人
マチュピチュの少年
地
pp.445
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207805
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最近,中南米を旅行する機会があった,わずか2週間ではあるが,ブラジル,アルゼンチン,ペルー,メキシコなどを回り,夏の日射しに一皮むけて帰ってきたときには,暖冬異変も終わり,寒さが身にしむ頃であった.写真を整理しながら,リオデジャネイロのコパカバーナの海岸,素晴らしかったポン・デ・アスカルの山,コルコバードの山頂に立つキリスト像,イグアスでの世界最大の瀑布,ブエノスアイレスでの美しい町並,ペルーでのクスコやマチュピチュなどのインカの遺跡,メキシコ・シティーの美しい広場や公園,テオテイワカンのピラミッドなどを懐しく思い出している.こうした風景や遺跡は,それぞれが目に焼きつき,写真を見返せばそれなりの感慨にひたることができる.しかし,マチュピチュで会ったインディオの少年達のことは,何か生々しい体験として甦ってくる.
マチュピチュはクスコからさらに入ったところにある.クスコは標高3430mの高地に栄えたインカ帝国の首都であったが,1533年わずか180人のスペイン人によって征服され,破壊しつくされた悲しい歴史を秘めた町である.クスコからの観光列車は1日1便で,朝7時出発である.アンデスの山並を眺めながら,アマゾンの源流であるウルバンバ河沿いに下ること3時間半でマチュピチュ駅につく.
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