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前回に引き続き,第23回ヘルスプロモーション・健康教育国際会議(IUHPE)の報告です(2019年4月7日〜11日,ニュージーランドのロトルア市).5日間にわたる全てのセッションはとても回りきれないので,発表のあるヘルスリテラシーのセッションの他に,自分の関心の高いセッションを中心に参加しました.今回はその中の一つである「職域ヘルスプロモーション」のセッションをご紹介します.
2日目に行われた職域ヘルスプロモーションのセッション「Changing health behaviours in the workplace」では,世界各国の職場での健康増進・行動変容の介入や評価について発表が行われました.シンガポールのJinxiong Isaac Yee氏からは,健診受診率の低いタクシーの運転手に,車検と一緒に体の健康診断を受けされる仕組みが紹介されました.リーチが難しい高齢の対象者に,いかに産業保健サービスを届けるかという発表には非常に納得させられました.サウジアラビアのBaraa Quronfulah氏からは,座業防止のための動画をスマホで配信して,身体活動を増加させるRCTスタディが報告されました.座業が減っただけではなく,中等度以上の身体活動も増えたという結果が示されました.私は,日本でムーブメントとなっている健康経営を紹介し,また,産業医として関わっている設計コンサルタント事務所での15年以上にわたる職域ヘルスプロモーションがヘルスリテラシーを向上させつつあるという発表を行いました.参加者からは「健康経営が日本の実社会の中でどのくらいインパクトを持って受け入れられているか?」という質問がありました.予想以上に浸透が進んでおり,ブラック企業を避けたい就活生や親にも一定のインパクトがあると答えました.
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