予防と臨床のはざまで
第23回ヘルスプロモーション・健康教育国際会議ダイジェスト(その1)
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.568
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209194
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2019年4月7日〜11日に第23回ヘルスプロモーション・健康教育国際会議(IUHPE)が開催されました.3年に一度開催されるヘルスプロモーション・健康教育分野で唯一の国際学会です.前回のブラジル・クリチバ市に続いて,先住民であるマオリの文化や広大な地熱地帯,温泉で知られるニュージーランドのロトルア市に,世界中から研究者,実践家,政策決定者を含むヘルスプロモーションの専門家約1,200人が集まりました(http://www.iuhpe2019.com).
テーマは「WAIORA:Promoting Planetary Health and Sustainable Development for All」.地球規模の健康と持続可能な発展について考察するという,とてつもなく大きなテーマです.健康経営の分野でも国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs)を目にすることが多くなりましたが,今回の会議はSDGsそのものをしっかり議論しようという姿勢のようでした.SDGsの健康に関する目標はただ一つですが,この健康は地球規模の健康を考えるべきで,その視点に立つと,多くの他の目標(水,気候変動,海洋資源,陸上資源など)との関連が見えてきます.テーマに冠されたWAIORAは,マオリ語で「命の水」を表し,健康と持続可能な開発に関する先住民の視点を示しているとのこと.つまり,そのような限りある「自然の恵み」を次世代の地球と人類の健康のためにどう生かし,継承していくのかという問いに感じられました.
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