フォーラム
ヘルスプロモーションの階層化した諸概念―ヘルスプロモーションに関する国際(世界)会議を総括して
湯浅 資之
1
,
島内 憲夫
2
,
中原 俊隆
3
1国立国際医療センター国際医療協力局
2順天堂大学スポーツ健康科学部健康学科
3京都大学大学院医学研究科健康政策・国際保健学教室
pp.263-268
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100732
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
プライマリヘルスケアにも似て,ヘルスプロモーション(以下HP)は奥行きの深い概念を有した健康戦略である.その概念を深慮すればするほどに,HPは狭義の公衆衛生戦略という範疇にとどまらず,将来が不確定な21世紀を走り出したわれわれに生き方の指針を示唆しているかのようでさえある.そんなHPの概念形成のイニシアティブをこれまで担ってきたのは,世界保健機関(WHO)のHPに関する国際(世界)会議であった1).HPは斬新な発想と公衆衛生における豊富な挑戦や失敗から学び取った経験則から成り,これらの集積を世界規模で行った国際会議での討議内容は,自ずと先人らの試行錯誤の結晶と言える.
そこで,本稿はまずオタワ憲章2)に至る経緯と,オタワ憲章からバンコク憲章3)に至る20年間に6回開催されてきたHPに関する国際(世界)会議における討議内容を鳥瞰し,HPの概念が誕生,深化されてきた過程を辿る.後半ではその歴史的足跡を踏まえ,階層化によってHP概念の体系的整理を試みたい.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.