特集 学校における子どもの健康課題
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.415
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209156
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教育基本法では,教育の目的の一つに「心身ともに健康な国民の育成」を掲げています.戦後の学校保健は,1958年に学校保健法が制定され発展してきました.しかしながら,社会状況などの変化に伴って,学校保健,食育・学校給食,学校安全にさまざまな課題が生じたことから,中央教育審議会は「子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」諮問を受け,2008年に答申を行いました.これらの状況を受けて,2009年に「学校保健安全法」が施行されました.学校保健は健康を担保する憲法25条に基づいて行われる文部科学省管轄の活動です.公衆衛生活動との連携の必要性は以前から提起されていますが,現在も連携が進展しているとは言えない状況です.
しかし,家庭,地域,学校などを取り巻く環境が急速に変化していく中で,子どもの健康・生活・安全面において,自閉症・学習障害児の増加,飲酒・喫煙・肥満などの生活習慣の問題,性行動の問題,気候変動による熱中症事故,給食における異物混入・食中毒,集団風邪・季節性インフルエンザなどの感染症などが問題として挙げられています.これらの問題には学校保健安全法のみでは対応が困難であり,これまで以上に食品衛生法,感染症法などを管轄する保健所や他の関係機関との連携が重要と思われます.
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