特集 新型たばこ—健康影響と規制のあり方
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.577
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209200
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喫煙の健康影響に関する知識の普及や受動喫煙対策の強化などを背景として,わが国では喫煙率が年々低下し,紙巻きたばこの販売量も減少しています.こうした中,たばこ業界の販売戦略は,紙巻きたばこから非燃焼・加熱式たばこ(以下,加熱式たばこ)や電子たばこなどの「新型たばこ」へと軸足を移しつつあります.特にわが国では加熱式たばこの普及が急速に進んでいて,国内のたばこ市場でのシェアが2019年には3割に迫るとの推計もみられます.
新型たばこの有害性や健康影響などに関する研究は進んでいますが,販売開始から数年ということもあり,医療・公衆衛生関係者の間でも,最新の研究成果に基づく科学的知見が共有されているとは言い難いのが実情です.また,受動喫煙対策の強化を図るための健康増進法改正に際して,加熱式たばこについては,受動喫煙の健康影響に関する科学的知見が十分でないとして,紙巻きたばこよりも弱い規制にとどまったため,今後の対策に関わる保健所などの現場からは困惑の声も聞かれます.
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