特集 公衆衛生活動と疫学
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.883
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209023
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公衆衛生における19世紀の画期的な出来事として,英国でジョン・スノウがコレラの流行と井戸水の関係を明らかにしたことや,わが国で高木兼寛が脚気は食事に起因すると考え,「洋食+麦食」と「白米食」による介入実験を行ったことなどが挙げられます.これらの考え方は現在の「疫学」となり,疫学調査での地理情報システム(geographic information system:GIS)の応用や無作為化比較試験(randomized controlled trial:RCT)などへと発展し,多大な成果を上げることになりました.
しかし,わが国の公衆衛生活動において疫学研究が本格的に導入されたのは最近のことです.「日本疫学会」が発足したのは1991年であり,大学や研究機関における疫学研究は活発になっていますが,公衆衛生の現場に広く普及しているとはいえない現状にあります.一方,臨床医学の領域では「根拠に基づく医療」(evidence-based medicine:EBM)として,臨床疫学が急速に普及してきています.また,近年は,臨床現場における検査や診断において「ベイズ統計」の有効性が再認識され,公衆衛生の分野でも疾病の発生頻度,スクリーニング検査の評価に応用されています.その他に,社会疫学や社会ネットワーク分析など,新たな研究・調査手法なども登場しています.
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