特集 感染症法施行20年の歩みと到達点—COVID-19の流行を踏まえて
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.209
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209594
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日本の感染症の基本法は,1897年に制定された伝染病予防法とされてきました.伝染病予防法が廃止され,1998年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」が新たに制定され,1999年に施行されています.新法制定後,20年の間にSARSやMERS,さらに新型インフルエンザのパンデミックが発生しています.これを受けて,WHOの国際保健規則が改正され,日本でも新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)が制定されています.そして,国レベルでは,国立感染症研究所,検疫所,地方レベルでは,地方衛生研究所,保健所,および自治体の感染症に対する組織と体制が強化されてきています.また,感染症指定医療機関の整備や,全国における感染症の大きな集団発生に対処する実地疫学専門家の養成も進められています.このようななか2020年1月16日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最初の感染者の報告があり瞬く間に感染者数が増加して,2021年2月21日現在,特措法に基づき緊急事態宣言が発令されています.日本の感染症の法制度や社会体制を試すかのような事態に直面させられています.COVID-19は,日本のみならず,日本が手本としてきたイギリス,ドイツ,米国にも同じように流行にさらされています.そのために,各国の感染症に対する公衆衛生のみならず政治行政を含めた体制全体を比較することを可能としています.また,COVID-19の流行は,感染症法施行後に日本が進めてきた感染症に対する法制度や社会体制の課題や問題点を顕在化させてくれています.
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