特集 SNSで防ぐ災害関連死—「Society 5.0」時代のリーダーになる!
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.633
発行日 2020年10月15日
Published Date 2020/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209481
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近年,自然災害が激甚化,頻発化しており,2019(令和元)年は3件の激甚災害が発生しました.2020(令和2)年は,新型コロナウイルスの全国的な感染拡大によって都道府県域を越えた災害時の保健師等の応援派遣が困難になることが予測されるため,各自治体は災害時の避難所の運営・支援体制を確保しておく必要があります.
観測史上最大級の令和元年台風第15号(令和元年房総半島台風.955hPa,風速45m/s)が上陸した千葉県では,暴風で広域な停電,断水が発生し,対応に追われた市町村から防災システムによる被害情報が集まらず県による被害把握と初動に支障が生じました.また,同年の台風第19号(令和元年東日本台風.915hPa,風速55m/s)では観測史上1位の記録的大雨で避難勧告や指示を発令した都内42区市町村のうち,28自治体でホームページがつながらず15自治体で避難所に収容できず,情報の収集や共有に課題が残りました.被災者はSNSで災害に関するさまざまな情報を発信しており,SNS上の災害情報は,災害現場や被災者が置かれた状況,避難所の不足物資など,被災者それぞれの視点から見た有益な情報源となるとされますが,災害時,自治体職員は救護や避難所支援などで多忙を極め,SNS情報を十分活用できませんでした.
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