特集 学校における子どもの健康課題
日本における学校保健の変遷と今後の展望
瀧澤 利行
1
1茨城大学教育学部教育保健教室
pp.416-422
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209157
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学校保健の基本的な考え方
学校保健とは,幼児,児童生徒,学生および学校に勤務する教職員の健康を保持・増進し,健康を通じて豊かな人間形成を図るために主として学校でなされる活動の総体をいう.学校保健を主に子どもや青年の健康と,発達に関わる営みとして考えると,大きく分けて二つの機能を有している1).一つは,日本国憲法で定めた国民の「健康で文化的な」生活を営む権利を保障する上で国に課せられた責務である「公衆衛生の向上および増進」の一環として,幼児,児童生徒,学生の心身の健康を保持増進する機能(公衆衛生的機能)である.もう一つは,その学校において集団の健康を保持増進する過程を通じて,自己あるいは集団が自立的存在として主体形成・集団形成していく機能(教育保健的機能)である.
本稿では,日本における学校保健の変遷と今後の展望について,上記の二つの機能がどのように関連してきたのか,また,学校保健が子ども・青年の健康をどのように支えてきたかを中心にして述べる.
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